【6/15番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜
「だったらどうして……」
低くつぶやいた臣海さんに、久遠さんは「おまえが一言『嫌だ』と言えば、私は縁談話を止めていただろう」と告げる。
しかし自分の病状が落ち着いた頃にはすでに婚約に向けて話が進んでいたのだと。
「おまえは環妃さんとの交際を了承し、特に決まった相手もいなかった。そうだろう?」
トップ不在のなか、妻が会社の混乱を避けるために動き、それを息子が受け入れた。それをなぜ止める必要がある?……と久遠さんは続けた。
そして今度は私を見て、「臣海の本当の母親のことは聞いているかな?」と優しい声音で問いかける。
「はい、久遠さんとニューヨークで出会い、臣海さんを身籠ったと……」
そして妊娠後あなたに捨てられたんですよね? とまでは言い出せず、私はそこで言葉を切った。