【6/15番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜
「――おはようございます。本日はご利用いただきありがとうございます」
遠くからチーフパーサーたちが挨拶する声が聞こえてくる。
私もファーストクラスの通路脇に立ち、乗客を迎えるべく背筋を伸ばした。
キャリーケースを引くゴロゴロという音が徐々に近づき目の前で止まる。
私はマニュアルどおりの笑顔で、けれど耳まで顔を赤くしながら挨拶をした。
「……久遠さま、おはようございます」
私が顔を上げると、臣海さんが満面の笑顔で見下ろしている。
「おはようございます、今日はよろしくお願いします」
「はい、こちらこそ……」
なんだかお見合いみたいな会話になってしまったが、とにかく彼を先導して席に案内……しようとして足を止める。
「そういえば、どちらの席がよろしいですか? よりどりみどりですけど」
「そうだな、1時間ごとに移動するか」
「ええっ!」
「ハハッ、冗談だ。そうだな、思い出の席に座らせてもらおうかな。菜月と再会した運命の日の」
「……かしこまりました」
『運命の日』の言葉にドキドキしつつ、左手窓側の席に案内した。