【2/4 番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜

 『ルイ・ヴィトン 銀座並木通り店』の最上階にあるカフェ『LE CAFE V』。ここは以前から来たいと思っていた場所だった。

 CAの先輩方からは、『沢山の場所に行き、上質なものを飲んで食べて学びなさい』と日頃から言われている。

 ファーストクラスでお客様に何か質問されてもすぐに答えられるよう、実践的な知識を蓄えておくようにという意味だ。

 近々ミヤちゃんでも誘って一緒に……と思っていたが、思わぬ形で訪店が叶ってしまった。

 店内に入ると店長らしき人が駆け寄ってきて、「久遠様、いつもご利用いただきありがとうございます。すぐにお席にご案内させていただきます」と店員に目配せする。

 臣海さんはここでもVIPなのかと驚く私と対照的に、臣海さんは「ああ、恋人と一緒なのでよろしく」と慣れたものだ。

 エレベーターで7階に上がると、飾られている深紅の高級ソファーを横目に見ながら奥に進む。

 店内は外観と同様ブルーをメインとしており、天井を飾るペーパーリーフが海面の(きら)めきをイメージさせる。まるで自分たちが人魚姫の住む海中にいるみたい。

 案内された奥の席で向かい合うと、臣海さんが「菜月、コースでいい?」と店員に2人分のオーダーをした。

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