【6/15番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜
「あの夜のこと、全部覚えているのか?」
――えっ。
不意打ちの質問に目が泳ぐ。
薄っすらと覚えているような、いないような……。
なんだかとても気持ち良かったです……とは言えずに、真っ赤な顔でうつむいた。
「ごめんなさい、ほとんど……覚えていないです。酔っていた私を久遠様が介抱してくださったんですよね?」
赤いカーペットを見つめつつ小声で話す私に、上から低い声が降ってくる。
「臣海だ」
「へっ? おみ?」
「俺の名前だ、知ってるだろう。臣海と呼び捨てでいいって言ってるんだ。敬語も必要ない」
「でっ、ですが、久遠様は……」
「もう飛行機を降りたんだ、客じゃないだろ」
凄むように言われて唾を飲む。
「臣海……さん、でも、よいですか?」
「ふっ、さん付けか」
恐々顔を上げると、思いのほか優しく目を細める彼がいた。