【6/15番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜
――なんだ、こんなふうに柔らかい表情も出来るんじゃない。
それで調子に乗った私は、余計なことまで口走る。
「臣海さん、そうやって笑ってた方が素敵ですよ。顔が整いすぎてるから、ムッツリしてると怖いんですよ」
「ムッツリ? 俺にそんなことを言うとは、おまえ、度胸があるな」
――ひえっ!
一言余計だったかと慌てて口をつぐむと、再び彼が笑いだす。
「ハハッ、俺にそんなことを言う女は珍しい。やっぱりいいな、おまえ」
――あっ、いい笑顔……って、違う!
「臣海さん、さっきから『おまえ』を連呼してるけど、それってかなり失礼。ホテル経営者だったらもう少し優しい物言いを……」
「名前は?」
「えっ」
「『おまえ』じゃないんだろ? あんたの名前を教えてくれ。北見……下の名前は?」
急に改まった口調で聞かれて、心臓がトクンと跳ねる。
この人、めちゃくちゃまつ毛が長いな……なんて考えながら、「菜月」と素直に答えていた。