【6/15番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜
「北見菜月です。菜っぱの菜に、月」
「菜月……、いい名前だな。菜月……」
言いながら、彼の顔が目を閉じながらゆっくりと近づいてくる。
――これはっ!
危険を察知した私が両手で自分の口を覆うと、彼がピタリと止まり、不思議そうな顔をする。
「なんだ、どうして止める」
「どうしてって、こんなのダメでしょう」
「そういう流れだろう。男の部屋に来ておいて、今さら何を言ってるんだ」
「最初からそのつもりだったの?」
「そのつもりだが? 他に何をするんだ」
――うわっ、この人クズだ!
不意の笑顔にちょっと絆されていた自分を反省する。
そうか、彼はこういう人なんだ。
あの日だって酔った私を親切で介抱してくれたわけではなく、上げ膳据え膳だったということか。
「あの日、酔ってご迷惑をかけたことは反省しているし、申し訳ないと思ってる。けれど、だからって簡単に寝るとは思わないで」
彼の胸をトンと押して距離を取ると、臣海さんは眉根を寄せてため息をつく。
「どうしてだ。あの夜、菜月はとても感じてたし快がっていたじゃないか」
「快が……っ! ちょっと、下品なことを言わないで」
「何が下品なんだ。男と女がセックスするのは自然なことだし、あの夜だってお互い何度も気持ちよくなれた。俺たちはきっと身体の相性がいいんだ。だから俺だってずっと……」
「ずっと?」
私が小首を傾げると、彼は小さく首を横に振る。
「いや、それはいい。とにかく俺はたしかめたい。もう一度寝ればわかるはずだ」