【6/15番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜

 今回のニューヨーク出張は昨日から来週木曜日までの一週間。時差があるから金曜日まで菜月には会えない。

 菜月も一緒に来たがったのだが俺が止めた。
 いくら安定期に入っているといっても機内での不測の事態が心配だからだ。

 俺にとっても苦渋の決断だが、出産後は俺も育休を取って菜月と赤ん坊の世話をするつもりでいるから今のうちに仕事をこなしておかなければならなかった。

 そんなふうにぼんやりと菜月の笑顔を思い出していると、向こうのほうから悠の声が聞こえてきた。

「もう一杯いかがですか?」
「もう少しだけアルコールが強めの……」

 悠の運命の彼女は強めのカクテルをご所望(しょもう)らしい。
 どんなカクテルを出すのかと眺めていたらキールを作り始めた。カクテル言葉は『最高のめぐり逢い』だ。

 あまりにもベタ過ぎてプッと吹き出したら、それに気づいた悠が渋い顔になる。

 ――大丈夫だ、邪魔はしないから思う存分口説いてくれ。後で笑い話のネタにはさせてもらうがな。
< 296 / 349 >

この作品をシェア

pagetop