【6/15番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜

 とりあえず時計で時間を測っていた俺は、陣痛間隔が12分になった時点で待ちきれずに電話をかけた。

「――妻に陣痛が来たようなのですが」
『陣痛感覚は?』
「じゅ……10分です」

 2分サバをよんだが許してほしい。これ以上ここで菜月を苦しませておくのは俺が耐えられない。

 かかりつけの産院は都内のマタニティクリニック。
 一見ホテルのような造りでサービスも最高級だと有名なところだ。

 以前から頼んであった特別室に予定日より2日前でも入れるのかと心配したが、幸いにも空きがあるという。

「菜月、クリニックに行くぞ」

 元の計画では入院時は俺の車で行くことになっていたのだが、菜月に「今の臣海さんの運転は心配だからタクシーのほうがいいんじゃ?」と言われてしまった。

 さすが夫婦、俺もその意見には完全同意だ。
 手も足も震えて仕方がない。これが生まれてはじめての武者震いというやつなのだろうか。
 すぐにタクシー会社に電話をかけた。
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