【6/15番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜
「うっ……ああっ!」
「菜月っ!」
彼女の手を握りしめると、驚くほどの強い力で握り返してきた。
これはもう無意識なのだろう。彼女の全身が痛みに震えている。
「ふぅっ、は〜っ……ううっ!」
握りしめた俺の手に菜月の爪がめり込んでくる。
時間が経つごとにそれは深くなり、俺の手のひらに血がにじむ。
けれど菜月はこれ以上の痛みを必死で耐えているのだ。
「菜月、頑張れ……菜月……っ」
彼女の苦悶の表情を見るたびに、早く楽にしてあげて欲しいと神に祈った。
「うん……頑張る。赤ちゃんも、頑張ってるし……っ」
何時間経っただろうか。
遠くの空が朝焼け色に染まり始め、薄っすらと明るくなった頃、助産師さんが内診して「もういいですよ」とうなずいた。