【6/15番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜

「子宮口が全開大です。さあ、もう一踏ん張りですよ。ここからはいきんでいいですからね」

 陣痛に耐えていた菜月がほっとした表情を見せたのも束の間。
 今度は下半身に力を入れるよう言われ、顔を真っ赤にしていきみだす。

「旦那さんも手を握って声をかけてあげてちょうだい」
「あっ、はい。菜月、もう少しだ、頑張れ!」

 両手で菜月の手を握り、無我夢中で声をかけ続ける。

 ――菜月、もう少しだ、俺たちの、俺たちの子供が生まれるんだ。俺たちは……俺は、父親になるんだ!

 何度か繰り返したあとで、「生まれましたよ!」と声がする。

 赤黒いその小さな塊が、ドクターの腕の中で「おぎゃあ」と泣いた。

「お父さん、お母さん、おめでとうございます! 男の子ですよ」

 ――ああ、とうとう……。
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