【2/4 番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜

「臣海さん、神々しいほど綺麗な顔の人にそういうことを言われると居た堪れないんですけど」

「どうしてだ、女神みたいに美しいから女神だと言っただけなのに」

 彼はベッドの隅に腰を下ろすと、私の頬をサラリと撫でる。

「こんなの不謹慎だろうけど、菜月が苦しんでる表情も、美月を産んだ直後の汗まみれの肌も、ぜんぶゾクッとするほど綺麗だと思った」

「もう……二人きりならともかく、他の人がいるときにそういうのは禁止……」
「キスしていいか? もういいよな」

 私が返事をする前に、臣海さんの唇が重ねられる。

「もう、聞いた意味がないし……」
「もう一度」

 すぐに二度目のキスが降ってきた。唇を割って舌が挿入(はい)ると、それはあっという間に深くなる。

「ん……っ」
「はぁっ、菜月、好きだ……」

 重なる唇のあいだで吐息が漏れる。絡めた唾液を飲み込むと、疲れた身体に甘いエナジーが流れ込んできた。
 まるで極上の蜂蜜みたいだ。

 唇が離れ、コツンとおでこをぶつけて臣海さんが囁く。
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