【2/4 番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜

「菜月、本当に好きだ。最高だ」

 臣海さんは何度も同じような言葉を繰り返す。
 きっと出産に立ち会った後で興奮冷めやらないのだろう。その気持ちはよくわかる。

 私はただただ疲労困憊だけれど、それでも感動しているし。

「母親って凄いな。みんなあんなに苦しんで子供を産んでるんだな」

「臣海さんのお母さんだって同じだよ。臣海さんを産んで育てて……だからここにいる」

「ああ、そう思うと、長年ウジウジしていた自分が馬鹿だったなと思えるよ」

「それも含めて臣海さんだし、私はそんな臣海さんが好きだし」

 臣海さんはそっと私を抱き寄せて、小さく「ありがとう」と呟いた。

「菜月、おまえも美月も俺が幸せにするからな。もっと頑張っていっぱい仕事して、絶対に幸せにしてみせる」

 私の頬やこめかみに口づけながら、「絶対だから」と繰り返す。

「うん、もう十分に幸せだけどね」
「もっと……もっと幸せにする」

「ありがとう臣海さん、でもね……」
「でも?」

 臣海さんがキスを止めると、不安そうに私の顔をのぞきこんできた。

 そうじゃない。心配にならなくていいんだよ。不安になることはないんだよ。
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