【6/15番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜
「こんなのひどい!」
「それはこっちのセリフだ。俺の前で他の男の名前を出すな! 腹が立つ」
――えっ?
「そいつより俺のキスの方が上手いだろうが。クソ野郎のことなんて一瞬たりとも思い出すな」
――それってもしかして……。
「臣海さん、もしかして妬いてるの?」
「はぁ? 俺が妬く? そんなわけあるか。嫉妬されることはあってもその逆は絶対にない」
「だって今、他の男の名前を出すなって言ったじゃない」
「それは俺が一番じゃないと不快なだけだ。いいか、今度また他の男を話題に出したら、おまえが泣くまでキスをやめてやらないからな」
――だからそれが嫉妬なんじゃないの!?
けれど彼は絶対に認めないだろうと思ったので、黙ってうなずいておく。
怒る気もすっかり失せた。
――なんだかこの人って……。
「臣海さんって、思春期の男子みたい」
「はぁ!?」
「好きな子をいじめたくなる……的な? これってそういうことなんじゃないの?」
「自惚れるな。俺が誰かに惚れるとかありえない」
「付き合ってって言ったくせに」
「付き合うだけなら誰とでもできる。一緒に出かけて好きな物を買ってやればいいんだろ。何が欲しいんだ」
ああ、わかった、彼は今まで恋愛をしたことがないのだ。
ちゃんと人を好きになったことがないから、その感情もわからない。
そんな人と付き合うなんて不毛だと思う。
第一私はこの人を好きじゃないし……。
だから私はわざとらしく大きくため息をついてみせる。