【6/15番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜
「これでは付き合う以前の問題ね。私は恋人としか寝ないって言ったけれど、その前段階として、恋人とはちゃんと恋愛をしたいから」
これ以上は時間の無駄だと冷たく言い放つと、彼はわかりやすくションボリしている。
「俺には恋愛なんてわからない。食事に誘ったり贈り物をしたり、パターン通りに動くだけじゃ駄目だと言われたら……あとはどうしたらいいんだ」
捨てられた仔犬を見ているようで、持ち前の母性本能がくすぐられてしまう。
どうにもこういうのを放っておけない性分なのだ。
「とりあえず……誰とでも簡単に寝るのをやめてみたら?」
「誰とでもというわけじゃない。ちゃんと後腐れないのを選んでるつもりだが……まあ、菜月が嫌だというのなら止めてやってもいい」
「……すごい俺様」
「おまえも気が強いな」
そう言われて気がついた。
好きな相手じゃないからだろうか、なぜかこの人の前では素の自分を出せているような気がする。
優也さんと付き合っている時は、彼に釣り合う女性になろうと必死だった。
彼を取り囲む数多の女性スタッフと自分を比べ、いつも必死に背伸びしていた。
――そうか、あの頃の私は無理してたんだな……。
考え込んでいる私をクスリと笑い、臣海さんは部屋の隅のキッチンへと向かう。
「ソファーに座ってろ」
――命令ですか!
若干ムカつきつつも、部屋の中央に置かれたホワイトレザーのソファーに腰を下ろした。