【6/15番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜
「おっ、俺のも具沢山だな。ウニにキュウリに……トロと玉子は2本入っている」
「そう。臣海さんの好物を多めに入れたからね。それから……」

「それから?」
「私の愛情もたっぷり入っているから、美味しく召し上がれ」

 臣海さんはお皿をコトリとテーブルに置くと、意味ありげな笑みを浮かべて私を見つめた。

「えっ、何?」
「菜月、俺の1番の好物をもらいたいな」
「あれっ、トロと玉子だよね?」
「違うだろう?」

 言うが早いか頭を引き寄せられ、強く唇を押し付けられた。
 後頭部と背中を抱きしめながら、彼の舌が私の唇をこじ開ける。
 しばらく互いの舌を絡め合ってから、熱い吐息を洩らして離れていく。

「もっ、もう、何やってるの!」
「ハハッ、だから1番の好物をもらった」

 ――もっ、もうっ、もうっ! 

 大好きすぎてトキめいて、今にも心臓が爆発しそうだ。

 どうにか心を落ち着かせて恵方巻きを手に持った。

 今年の恵方は南南東。無言でベランダの方向を向きながら、恵方巻きを口にする。

 私は顔を熱く火照(ほて)らせながら、家族の無病息災を願ったのだった。

Fin
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