【6/15番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜

 臣海さんは備え付けのキッチンの棚からワイングラスを、そして小ぶりなワインセラーから赤ワインのボトルを1本取ってきてガラステーブルに置くと、私の隣に座った。

「えっ、シュヴァル・ブランの2005年!?」
「おっ、菜月はワインがわかるのか」

 ボトルのラベルを見て大声を上げた私に、彼はなんだか嬉しそうだ。


「CAの先輩に勧められてワイン講座に通っていたの。それにフライトでフランスに行ったとき、サン・テミリオン地区のシャトーで試飲もしたわ」

 ただしアルコールに強いわけではないけれど……と付け足すと、間髪入れず「それは嫌というほど知っている」と言われた。
 あの夜の私は一体どれほどの醜態を晒したんだろうと身震いする。


 臣海さんは2つのグラスにワインを注ぐと、その一つを私に手渡してきた。

「乾杯」
「えっ? あっ、乾杯……」

 カチリとグラスがぶつかって、お互い赤褐色の液体に口をつける。
 エキゾチックな香りと滑らかなテクスチャーにうっとりしつつ、1本10万円以上するヴィンテージワインを簡単に開けてしまうあたり、さすがホテル王だと感服した。


「……よし、これで決まりだな。俺は菜月以外とは寝ないから、ちゃんと相手してくれよ」

 ――はぁ!?

「よしって、勝手に決めないでよ。私はそんな簡単に寝ないって……」
「あの夜は簡単に抱かせてくれたけどな」

 うぐっ、それを言われると……。

 言葉を詰まらせる私を見て、彼は愉快そうに目を細める。
 グラスをコトリとテーブルに置き、 私の方に身体を向けた。


「それじゃあセックス無しでもいい。今夜は泊まっていってくれ」
「えっ?」

「俺の隣で寝てほしい」

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