【6/15番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜
「あの二人、いつでも美月を預かるからって言ってたろ? 特に必要性を感じなかったから頼んだことはなかったけれど、短時間でも預けたら喜ぶんじゃないかな」

「なるほど、美月との時間ね」

 菜月は顎に手を当て考えていたが、突然「そうだ!」と顔を上げた。

「ねえ、だったら美月をお泊まりさせちゃう?」
 と、名案とばかりに目を輝かせる。

「美月が来年三歳になったら私の育児休暇が終わるでしょ? 日帰り乗務を希望するにしても、何かとお義母(かあ)さんに頼る場面が出てくると思うの」

 菜月が働いているJAW (Japan Airways) は福利厚生が充実しているため、三歳まで育児休暇を取得できるだけでなく、復職後は日帰り乗務や時短勤務を希望することもできる。

 日帰り乗務になると国内線が多くなり、国際線の場合でも日帰り可能なソウル、上海、済州など東アジアの一部の都市のみの乗務となるのだ。

「――だから今のうちにお泊まりに慣れておいたほうがいいんじゃないかな。美月は人見知りしないし、お義母さんたちに懐いてるから大丈夫な気がする」

 彼女の提案に俺は迷わず頷いた。

「そうだな、俺から父に話してみるよ」

 今回ばかりは菜月任せにせずに自分で動きたい。自分の殻を破りたい……そう考えた俺は、両親との連絡役を買って出たのだった。
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