【6/15番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜
「――ごめんなさい、私、お節介だった」
私は臣海さんの後頭部を見下ろしながらため息を漏らし、手元のドライヤーをオフにする。
またオカンと言われては堪らない。
「いや、続けてくれ」
「えっ?」
戸惑う私に、臣海さんは前を向いたまま言葉を続ける。
「ちゃんと乾かさないと風邪を引くんだろ?」
「そうだけど……いいの? ウザくない?」
「ウザくないし、菜月に髪を触られるのは気持ちいい。もう急に振り返ったりしないから、そのまま続けてくれないか」
――そうか、だからさっきからジッと前を向いたままでいるんだ。
この人は強引なところがあるけれど、根は案外素直なのかもしれない。
「ふふっ」
「何がおかしい」
「ううん」
私は再びドライヤーをオンにすると、指先で彼の髪を散らしていく。
「菜月、おまえの行動は、お節介じゃなくて優しさだ」
「はい?」
彼の言いたいことがよくわからなくて、思わず聞き返した。
「さっきは俺のことを心配して言ってくれたんだろ? 俺は菜月に優しくされるのも、こうして構われるのも嫌いじゃない。だから、つまり……自信を持てばいい」
それを聞いた途端、胸に込み上げるものがあって、鼻の奥がツンとして。
「うん……ありがとう」
私は鼻をすする音を聞かれたくなくて、ドライヤーの風量を最強にした。