【6/15番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜
「ちょっ、ちょっと!」
たまらず大声を出したところで彼が私を素通りし、右方向のキングサイズベッドへと向かう。
ベッドの横で立ち止まるとシーツをめくって豪快に笑った。
「ハハッ、期待させて悪いが、脱ぐのは俺だけだ。寝るときは服を着ない主義なんでな」
そう言いながら躊躇なくバスローブを脱ぎ捨てて、黒いボクサーパンツ一枚になる。
「えっ、ちょっ、キャーッ!」
私が両手で顔を覆い後ろを向くと、その背中にまたしても笑い声が降ってきた。
「ハハハッ、ヴァージンでもないのに何を今さら」
「デリカシーのないこと言わないで! 恋人じゃない人の裸なんて、簡単に直視できるはずないでしょ。着るかベッドに入るかして! 早く!」
しばらくガサゴソ衣擦れの音がして、それから「これでいいのか?」と声がした。
振り向くと、腰までシーツに潜った臣海さんが、枕を重ねたヘッドボードに背を預けて座っている。どうやら着るよりもベッドに入る方を選んだらしい。
彼がこちらを見ながら隣の枕をポンポンと叩いた。
「来いよ」
――『来いよ』……って!
彼は無意識なのだろうが、言動がいちいちセクシャルで困る。
確かに私は処女じゃないけれど、付き合ったのも身体の関係があったのも優也さん1人。臣海さんとのことは記憶が曖昧なので、私の中ではノーカウントだ。
だから臣海さんとは踏んできた場数が違うのに、こんなふうに思わせぶりなセリフを吐かれると、意識せずにはいられない。