【6/15番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜

「私、堅物なの?」  
「そうだろ。一途で真面目で……それに、俺が抱いてやるって言ってるのに拒否する女なんて、菜月くらいなもんだ」

「ずいぶん経験豊かでいらっしゃるんですね」
「なんだ、早速嫉妬か。俗っぽいな」

 この人の思考がわからない。
 私と付き合いたいと言うわりには意地悪だし、余裕なようでいて純情な少年みたいでもあり。

 なんだかめんどくさい人だな……と思いつつも帰らずここにいる時点で、すでに私は(ほだ)され始めているのかもしれない。

 
「なあ、もう一度、あれ、歌ってくれないか?」

 不意に話しかけられて頭をひねる。

「あれ?」
「背中をトントンってしながら、子守唄みたいなのを歌ってくれただろ?」

 ――覚えてたの!?

 2年前のあの夜、ひどくうなされていた臣海さんを落ち着かせるために、とっさに歌を口ずさんだ。
 彼は夢の中にいたと思っていたけれど、ちゃんと気づいていたのか。

 あれを聞かれていたというのが気恥ずかしいのと少し嬉しいのとで、私は唇を尖らせてみせる。
 
「子守唄みたいなって、失礼な。あれはちゃんとした子守唄ですが?」
「ハハッ、そうか。それじゃ歌ってくれよ、その子守唄を」
「いっ、いいけど」

 臣海さんが身体をずらし、私の胸に顔を埋めてくる。そのまま腕を背中にまわして抱きついてきた。
 子供みたいなその体勢に、『そうか、彼は子供になりたいのかな』と考える。

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