【2/4 番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜


「ん、頼む」
「えっ?」
「ちゃんと乾かせと言ったのは菜月だろ」

 ――ああ、髪を乾かしてくれってことね。

 見れば彼の髪が濡れているし、昨夜と違う紺色のバスローブを身につけている。私が寝ている間にシャワーを浴びてきたのだろう。

 お揃いのバスローブの男女がこうしていると本当に事後みたいだなと思いつつ、彼の手からドライヤーを受け取った。

「はい、おまかせください」


 ――なんだかんだと言いつつ、素直なんだよね、この人。

 私はクスッと笑うとドライヤーのコンセントを()し、彼の髪に指を通す。
 強風に煽られた細い髪が、陽の光でキラキラしている。
 彫りの深い彼の顔と相まって、うっとり見惚れるほど綺麗だ。

「臣海さんのこの髪色は、染めているの?」
「……いや、天然だ」

「綺麗ね。ご両親からの遺伝かしら。臣海さんはハーフじゃないよね?」
「……母親がハーフだったからな」

「それじゃ臣海さんはクォーター!? 素敵!」

 彼はそれには答えず、黙ってベッドに入ってきた。
 横から私に抱きついて頬にチュッチュとキスしてくる。

「ちょっ、危ないし」

 私がドライヤーをオフにしてベッドサイドテーブルに置くと、彼が再び抱きついてきた。
 今度は耳たぶを甘噛みし、首筋にまでキスが及ぶ。
 そこから全身に甘い痺れが走った。

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