【6/15番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜

「ちょっと、駄目だってば!」

 さっきいやらしい夢を見たばかりでこんなことをされては、うっかり流されてしまいそう。

 慌てて彼の腕を引き剥がすと、「チッ、駄目か」と小声で呟かれた。
 しっかり聞こえてますから!

 キスを諦めた臣海さんが私の肩を抱き、横からコテンと頭をくっつける。

「昨日は久しぶりによく眠れた。菜月のおかげだ」
「えっ、私は安眠枕ですか?」

「安眠枕(けん)恋人というところだな」
「恋人?」
「ああ、恋人になってくれ。付き合おう」

 ――本気!?


 昨夜から何度も同じようなことを言ってくるけれど、彼にとっての恋人って何なんだろう。
 KUONグループのCEOで若きホテル王。そのうえこの美貌とくれば、最上級の女性がいくらでも寄ってくるだろうに。

 いや、実際彼はモテているし遊んでいるのだ。
 その彼が私に執着する理由がわからない。

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