【6/15番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜

「……私は、ちゃんと愛してくれる人と付き合いたい」
「ああ、わかっている。だからまずはお試しでいい」

「私は『おまえ』じゃないし」
「うん、違うな」

 彼は大きくうなずいてから身を乗り出して、私をまっすぐ見つめた。
 長いまつ毛がバサリと一度、上下する。

「菜月……俺と付き合ってくれ」

 少し掠れた声で囁かれ、考えるまでもなくうなずいていた。

 だって私も知りたいと思っている。

 久遠臣海(くおんおみ)という人間を。そして、あの夜あなたに抱かれて生まれた温かい感情や幸福感、とても満たされた気持ちのその正体を。

 
「……付き合ってくれるのか?」
「今、ちゃんと、うなずいた」

「キスは? 抱かなければいいのか?」
「……いいよ」

 そっと顎を持ち上げられて、柔らかい唇が重なった。
 すぐに差し入れられた舌は愛おしげに口内を隅々までなぞり、最後に私の舌を捕まえ絡め取る。
 混ざり合った唾液は甘くて官能的で、キスが『美味しい』ものだと初めて知った。

「はっ……」
 
 思わず声を漏らすと、ゆっくりと顔が離される。

「これ以上続けたら、止まれなくなりそうだからな」
「……うん」

 ――あなたが止まらなかったら、きっと私も……。

 心の中で残念に思いつつ、私はその言葉をグッと呑み込む。

「ちゃんと耐えたぞ。本当に、付き合ってくれるんだな?」
「……はい」

 途端に臣海さんは満面の笑みを浮かべて私を抱きしめた。


「菜月……今日からおまえは俺の恋人だ」

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