【6/15番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜
「――ええっ、お試しって!」
「ちょっとミヤちゃん、声が大きいってば!」
まだまだ叫び続けそうなミヤちゃんを制して、私は自分の部屋をぐるりと見渡した。
ここは昨夜から私たちJAW乗務員が泊まっているホテルのシングルルーム。
窓際の小さな丸テーブルを挟んで話している私たちの会話は、よほどの大声でなければ廊下や隣室にまで聞こえないだろう。
それでも時刻は午後10時過ぎ。外食を終えたCAが両隣の部屋に帰ってきているはずだ。
内容が内容だけに細心の注意を払わなければ……と思う。
今度は少し身を乗り出したミヤちゃんが、声を潜めて聞いてきた。
「それで2年ぶりに再会した2人がお試しで付き合うことになって、今日は5thアヴェニューでデートして……って、展開がドラマ過ぎない?」
「……私もそう思う」
今朝から『仮の恋人』となった臣海さんと私は、あれから彼の提案で一緒にブランチをすることになった。
KUONホテルはマンハッタンのど真ん中という好立地にあるため、徒歩圏内にいくらでも素敵な店がある。
パークアヴェニュー沿いの洒落たカフェに入ると、臣海さんはたっぷりのチーズとトマトを挟んだパニーニ、私はパンケーキをオーダーした。