【6/15番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜
「私……何もいらない」
「遠慮しなくていい……って、菜月!?」
急に立ち止まる私を臣海さんが中腰で覗き込んでくる。
私はぐっと唇を噛みしめて、彼から必死で顔を逸らした。
――嫌だ、私、みっともない。
こんな顔を見ないでほしい。今の私はきっと泣き出しそうになっている。
臣海さんの過去の女性関係に嫉妬したからじゃない。
『嫉妬している自分』が滑稽で情けないのだ。
愛がわからない、身体をつなげる以外の付き合い方を知らない。それは臣海さん自身が言っていたことだ。
彼がそういう人だなんてわかりきっていたはずなのに、今の私は裏切られたように感じていて。
抱かれてしまえと思う一方で、一晩限りの女性と同レベルには扱われたくなくて。
変なプライドだけは一人前だなんて、自分勝手にもほどがある。
――もう感情がぐちゃぐちゃだ……。