一途な外科医は彼女の手を繋ぎ止めたい
急いで支度をし、駅に着いたのは10時ちょうど。
すでに車はロータリーに停まっていた。
私が近づくと原島さんは車から降りてきてくれ、合図してくれた。
今日の原島さんはブラックデニムにTシャツ、グレーのカーディガンを羽織っていた。
私はベージュのスカートに黒のレギンス、オフホワイトのカットソー、昨日と同じ紺のバッグにバレーシューズで来た。たくさん歩くかもしれないと思ってヒールのないものにしてきた。
「なんだかまた色が似てるかな」
たしかに…
そんなことを指摘されてこそばゆい。
でもちょっとドキッとするし、昨日と違うものを着てきたのにまた似てるなんて嬉しくなった。
「さ、由那ちゃん行くか」
そういうとスムーズに動き出した。
そう言えばこの車、私でも知っているエンブレムがついていた。
それに座り心地も良くて、うちの車とは全然違う。
「あの…原島さん。すごい車ですね。初めて乗りました」
「正直なところやっと買ったんだ。一度は乗ってみたくてさ。でもよく考えたら情けないことに出かけるところがなかったよ。仕事も自転車なんだ。だからカッコいい自転車を買うべきだったのかもと思ってるよ。車は維持費もかかるからさ。でも男の夢が詰まってるっていうか、一度は手にしたかったんだ」
「そうなんですね。私でも知ってるこの車はきっと高いですよね。でも買うために仕事を頑張ったんですね。ご褒美なんですね」
「由那ちゃんにはそういうのないの?」
「あります。実は革のバッグが好きで毎年ご褒美に購入してるんです。値段は原島さんと天と地ほど違うけど私にとっては年に一度のご褒美なんです。飽きのこないバッグなので大切にしてるんです」
「いいね。長く使えるようなものを選ぶの。そういうのって大事だよね」
「そうですね。愛着が湧きますし、物をすぐに捨てないって大事ですよね。そうは言っても服とかはつい買っちゃうので増えちゃうから処分もしますけど」
なんでも大事にできるほどの凄い人ではないので勘違いされたくはない。
私だってプチプラの服を買い、ワンシーズンで終わりにすることもある。
ただ、高くても長く使いたいものはご褒美に買うっていうだけ。
「俺だって同じだよ。買いに行くのが面倒で同じTシャツを着続けたりすることもあるし、選ぶのが面倒で同じような白Tシャツをたくさん買ったりもしてしまう。白Tシャツなんて何枚もいらないから散財だと思うんだけど洗濯とか面倒だから何枚も同じようなものがあるよ」
「原島さんはそんなことないと思ってました。きちんとしてそうだし」
「そんなことないよ。不規則だから部屋も汚いし、誰もあげたことないよ」
「原島さんならそんなことなさそうなのに」
「足の踏み場がないとまでは言わないけど、ソファの上につい物は置きがちかな」
なんだか原島さんの生活が垣間見えてきた。
朝の散歩で会う10分程度の会話と昨日しか話してないのでまだまだ知らないことがある。でもこうしてお互いのことが知れて嬉しい。
「そういえばこの車のナンバー覚えた?」
「ん?108でしたよね。誕生日ですか?10月8日?」
「そう思われがちだけど違う。改めまして、原島冬哉です。とうや…とう、や」
「とう、や…十、八…108!」
「そう。覚えやすいだろ」
「冬哉さんっていうんですね。響がいいですね」
「なら、由那ちゃんは名前で呼んでくれる?原島さんって固いし」
「と、冬哉さん」
「……なんか、いい!」
冬哉さんの横顔を見ると満面の笑みを浮かべつつもなんとなく耳元が赤い気がしたのは気のせいかな。
すでに車はロータリーに停まっていた。
私が近づくと原島さんは車から降りてきてくれ、合図してくれた。
今日の原島さんはブラックデニムにTシャツ、グレーのカーディガンを羽織っていた。
私はベージュのスカートに黒のレギンス、オフホワイトのカットソー、昨日と同じ紺のバッグにバレーシューズで来た。たくさん歩くかもしれないと思ってヒールのないものにしてきた。
「なんだかまた色が似てるかな」
たしかに…
そんなことを指摘されてこそばゆい。
でもちょっとドキッとするし、昨日と違うものを着てきたのにまた似てるなんて嬉しくなった。
「さ、由那ちゃん行くか」
そういうとスムーズに動き出した。
そう言えばこの車、私でも知っているエンブレムがついていた。
それに座り心地も良くて、うちの車とは全然違う。
「あの…原島さん。すごい車ですね。初めて乗りました」
「正直なところやっと買ったんだ。一度は乗ってみたくてさ。でもよく考えたら情けないことに出かけるところがなかったよ。仕事も自転車なんだ。だからカッコいい自転車を買うべきだったのかもと思ってるよ。車は維持費もかかるからさ。でも男の夢が詰まってるっていうか、一度は手にしたかったんだ」
「そうなんですね。私でも知ってるこの車はきっと高いですよね。でも買うために仕事を頑張ったんですね。ご褒美なんですね」
「由那ちゃんにはそういうのないの?」
「あります。実は革のバッグが好きで毎年ご褒美に購入してるんです。値段は原島さんと天と地ほど違うけど私にとっては年に一度のご褒美なんです。飽きのこないバッグなので大切にしてるんです」
「いいね。長く使えるようなものを選ぶの。そういうのって大事だよね」
「そうですね。愛着が湧きますし、物をすぐに捨てないって大事ですよね。そうは言っても服とかはつい買っちゃうので増えちゃうから処分もしますけど」
なんでも大事にできるほどの凄い人ではないので勘違いされたくはない。
私だってプチプラの服を買い、ワンシーズンで終わりにすることもある。
ただ、高くても長く使いたいものはご褒美に買うっていうだけ。
「俺だって同じだよ。買いに行くのが面倒で同じTシャツを着続けたりすることもあるし、選ぶのが面倒で同じような白Tシャツをたくさん買ったりもしてしまう。白Tシャツなんて何枚もいらないから散財だと思うんだけど洗濯とか面倒だから何枚も同じようなものがあるよ」
「原島さんはそんなことないと思ってました。きちんとしてそうだし」
「そんなことないよ。不規則だから部屋も汚いし、誰もあげたことないよ」
「原島さんならそんなことなさそうなのに」
「足の踏み場がないとまでは言わないけど、ソファの上につい物は置きがちかな」
なんだか原島さんの生活が垣間見えてきた。
朝の散歩で会う10分程度の会話と昨日しか話してないのでまだまだ知らないことがある。でもこうしてお互いのことが知れて嬉しい。
「そういえばこの車のナンバー覚えた?」
「ん?108でしたよね。誕生日ですか?10月8日?」
「そう思われがちだけど違う。改めまして、原島冬哉です。とうや…とう、や」
「とう、や…十、八…108!」
「そう。覚えやすいだろ」
「冬哉さんっていうんですね。響がいいですね」
「なら、由那ちゃんは名前で呼んでくれる?原島さんって固いし」
「と、冬哉さん」
「……なんか、いい!」
冬哉さんの横顔を見ると満面の笑みを浮かべつつもなんとなく耳元が赤い気がしたのは気のせいかな。