冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~
「ごめんね、ママお皿割っちゃった。成優は危ないからこっちに来ちゃダメよ」
「はーい」
こちらの状況に納得すると、成優はまたDVD鑑賞に戻る。私は自分を落ち着かせるように息を吐き、所在なげに立つ至さんに「掃除機持ってきますね」と告げて廊下に出た。
彼の目が届かなくなると、私は思わず掴まれていた手首を撫でた。
これだけ長い間会っていなかったのに、彼に触れられたあの一瞬で、あの頃の空気が、過去の熱が、蘇りそうになった。
「至さんは仕事で来たんだってば……」
自分を窘めるように呟き、収納を開けて掃除機を出す。そうして割れた食器を片付け、ようやく彼と話ができる状況が整った。
テーブルを挟んで至さんと向き合い、私は崎本くんと噂になった経緯について、順を追って説明していった。
「なるほど。証拠はその写真だけ、ということか」
至さんはテーブルに小型のノートパソコンを出し、私の発言をメモしている。
「ええ。やはり、私と崎本くんにとっては不利でしょうか」
「そうでもない。ラブホテルから出てきた瞬間の写真でも撮られたなら言い逃れできないが、自宅の玄関先で話しているだけだ。不純異性交遊の証拠としては弱い。ただ……」