冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~

 至さんの分析にホッとしたのもつかの間、彼がキーボードを打つ手を止めて言いよどんだので、急に不安になる。

「ただ、なんです?」
「午前中、一度学校に電話して向こうの状況を聞いたんだ。そうしたら、保護者の代表であるPTA会長が今回の件に強い嫌悪感を示しているらしい。事実がどうであろうと、問題の原因となったカウンセラーを辞めさせろと」
「PTA会長……」

 私の脳裏に、ある女子生徒の顔が浮かんだ。少し前、PTA会長である母親との関係に悩んでいると、カウンセリング室に相談に来たのだ。

『モンスターペアレントってやつだよね、うちのお母さん』

 女子生徒は無理に笑って、そう言っていた。彼女の家庭は裕福で、幾望学園に多額の寄付をしているせいもあるのか、母親は学園の教育方針にもよく口を出している。

 女子生徒にはそれがとても傲慢なように思えて、恥ずかしいのだそうだ。

「手ごわそうな相手なのか?」
「……ええ、たぶん」
「そうか。それならこちらも武器を用意しておかないとな。しかし、相手がPTA会長だろうとなんだろうと、理不尽な要求に応じる必要はない。きみも堂々としていろ」

< 101 / 223 >

この作品をシェア

pagetop