冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~

 同僚としてその相談を受けた三船さんが、セクハラをやめるよう検事長に直訴。しかし、それは完全に裏目に出た。検事長は自らの権力を駆使し、ありもしない事実をでっち上げたのである。

 三船さんと蘭さんは恋人同士で、彼らが執務室をラブホテル代わりに使っていた――と。

 その影響で、彼らは退職に追い込まれる事態になったらしい。

 後から、弁護士に転身した三船さんと蘭さんが協力して裁判を起こし、勝訴。検事長はその任を解かれたが、三船さんは今でも当時の検事長を許していない。

『裁判に勝てたのは、蘭が決定的な音声データを提出してくれたからだ。検事長にセクハラ……性的暴行といってもいいほどの仕打ちを受けている最中の、本来なら絶対誰にも聞かせたくないものを、勇気を出して提出してくれたからだ』

 そう話してくれた時の三船さんは、ひと言では言い表せない複雑な感情を瞳に宿していた。

 検事長への報復は叶ったかもしれないが、同時に法廷という大勢の注目を浴びる場で、蘭さんを辱めてしまった。

 本当にあの証拠を提出するべきだったのだろうかと、後悔する日もあったそう。

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