冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~
そんな蘭さんだが、なんと現在、待望の第一子を妊娠中。皮肉にもちょうど俺と芽衣が別れた頃から、蘭さんは夫婦生活ができるようになったのだ。
「蘭さん、そろそろ健診の時間じゃないですか?」
俺は腕時計をチラリと見やり、蘭さんに告げる。
「あ、ホントだ! じゃあ行ってくるね」
「待って、蘭。下まで送る」
「もう、京ちゃんは心配性なんだから」
蘭さんと三船さんが出ていきオフィスが静かになったところで、俺はなにげなくデスクの一番上の引き出しを開けた。
三年前から変わらずそこに保管されているのは、小さなパンダのぬいぐるみ。
最愛の人との、思い出の品だ。
「いや、向こうは子持ちだぞ……」
思わず声に出して呟き、引き出しをぴしゃりと閉める。そして、ビジネスバッグからノートパソコンを取り出して開いた。
塁から電話をもらって事情を聞いた時、芽衣の職場と塁の通う高校が同じであったこと、塁が彼女に想いを寄せていること、そして芽衣が現在シングルマザーであることなどにかなり衝撃を受けたが、それとこれとは別。
過去のことは関係なく、弁護士として彼女を救うと決めたのだ。全力を尽くそう。
俺は改めてそう決意すると、キーボードを叩き始めた。