冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~
彼女に負けないくらいの満面の笑みを浮かべると、会長の笑みにひびが入った。口の端がぴくぴくと震え、メイクが崩れ出す。
「なにを言ってらっしゃるのかわからないわ」
「ご冗談を。SNSの投稿はあなたの自作自演でしょう? こちらには証拠もあるんですよ?」
「嘘……ハッタリよ! 私、夫がIT企業の役員だから知っているのよ。裁判所に請求してSNSやなんかの投稿者を開示するには数カ月単位で時間がかかるの。いくら弁護士だからって、こんなに早く割り出すのは無理よ」
PTA会長が、しきりに自分の髪に触れる。精神的に追い詰められた時、人はなんらかの癖が出る。行動心理学ではこれをなだめ行動というのだと、昔、芽衣が教えてくれた。
まぁ、そんな知識がなくとも会長の動揺はいっそあからさまだ。
「たしかに、現行法では情報開示に時間がかかります。しかし、あなたのように匿名で特定の人物を誹謗中傷する輩が後を絶たないので、昨年の春に法改正がなされ、今年中に施行されるんですよ。もしかして、ご存じなかったでしょうか?」
「……だから、私じゃないって言っているでしょう!」