冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~

 会長の額に青筋が立ち、鬼の形相になる。

 しかし、相手が感情的になればなるほど、弁護士にとってはやりやすいので、つい口もとに笑みが浮かぶ。

 往生際の悪い女だ。そろそろ、とどめを刺してやるか。

「失礼、法改正の件は完全に余談でした。なぜなら今回は、情報開示請求の必要がなかったからです。目撃者からの貴重な証言がありましたので」
「も、目撃者?」

 俺は胸ポケットから小型のICレコーダーを出し、音量を最大にして再生ボタンを押す。

 やがて流れ出したのは、現在、この幾望学園の三年生である会長の娘に、俺がヒアリングをした時のやり取りだ。

『夜中に目が覚めて、水を飲みに行こうと思ったら、リビングが明るくて……。お母さんがパソコンに向かっているのが見えました。その後姿がなんだか鬼気迫る感じだったので、足音を殺して画面を覗いたら、観月先生の悪口を入力しているのが見えました。直後に私の気配に気づいたお母さんが画面を閉じたので、一瞬でしたけど……でも、ハッキリ覚えています』

 心細く震える声を聴きながら、彼女に話を聞きに行った時のことを思い出す。

 最初はいきなり現れた俺を警戒していたが、名刺を渡して『観月先生を助けたいから協力してほしい』と訴えると、友達と一緒でいいならと、公園での聞き取りに応じてくれた

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