冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~
至さんの声が震えているのを感じ、私は彼の胸に置いていた手を広い背中に回し、ギュッと抱きしめ返す。
「いいんです。あの時、至さんは私よりもお母様のそばにいるべきでした。そのために別れると決めたのは私自身なんですから、あなたを恨んでなんていません」
「芽衣……きみは優しすぎる」
至さんはそう呟き、ますます腕に力を籠める。
こうして抱き合っているだけで、私たちの間に横たわっていた数年間の空白が、少しずつ埋められていくような気がした。
しばらく無言で抱き合った後、至さんがそっと体を離す。
「俺の気持ちは、あの頃からずっと変わらない。芽衣と成優ちゃんと、三人でやり直したいと思ってる。……それだけ、よく覚えておいて」
「はい」
彼の目を見て頷くと、今度こそ至さんは帰っていった。
私の気持ちだって、あの頃とまったく変わっていない。けれど、三人で暮らすとなると生活は一変する。成優の気持ちが置き去りにならないように、慎重に考えないと……。