冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~

「弁護士、素敵な夢だと思う。心から応援する」
「ありがと。あと、芽衣ちゃんにはもうひとつ頼みがあってさ」
「うん。なぁに?」

 崎本くんはちょっと緊張したように深呼吸をすると、決心したように私を見る。

「このカウンセリング室、親も使っていいらしいって噂で聞いた。だから……うちの母親、来させてもいいかな? まともに育ててもらった覚えはないし、家に男を連れ込んでばっかだから、近所の人に白い目で見られるような親だけど……それでも、心配なんだ。俺を産んでくれた、たったひとりの母親だから」

 崎本くんの真剣な目は、今までで一番〝助けてほしい〟と訴えていた。

 彼の母親のことは、私自身も気になっていた。虐待やネグレクトをする親は、その親自身がなにか困りごとを抱えている場合が多い。

 ネグレクトの経験がある母親のうち、およそ六割がうつ傾向にあるとの調査結果もある。

 崎本くんの母親の場合、男性の影が絶えないのは、彼女自身、愛情に飢えた幼少期を過ごした影響という可能性もある。

 私にもなにかできることがあるかもしれない。まずは話を聞くことが必要だ。

< 141 / 223 >

この作品をシェア

pagetop