冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~

 洗面台に手をついて後ろから責められ、自分の乱れる姿をいやというほど鏡で見せつけられて……って、なにを思い出させるの!

「な、成優、リビング行こう、リビング」

 慌てて成優の手を引き廊下に出ていく私に、至さんがクスクス笑う。

 今日は自分の家でリラックスしているからか、彼がいつもより意地悪だ。お泊りとはいえ子連れだから、色っぽい展開はまったく予想していなかったけれど……今夜、もしかして危険?

 ここ数年、女としてはすっかり枯れた生活しか送っていないので、急に緊張してきた。

「ママ、おなかすいた」
「あ、そうよね。冷めちゃうし食べましょう」

 ピンク色の妄想をパッとかき消して、手に持っていたハンバーガーショップの袋をダイニングテーブルに置く。

 マンションに来る途中、手土産とお昼ご飯を兼ねて、色々テイクアウトしてきたのだ。

「至さん、コーヒーでよかった?」
「ありがとう。久々だなハンバーガーなんて」
「みて! なゆの、おもちゃついてるの!」

 子ども用のセットについてきた、人気のアニメキャラクターのマスコットを、成優が至さんに見せる。

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