冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~
彼はカウンセラーとしての私に単純に相談に乗ってほしいのであって、元々私は彼のストライクゾーンから外れている女だ。ドキドキするだけ無駄。惹かれたって傷つくだけ。
何度も言い聞かせているうちに、彼が戻ってきた。
「説明が面倒だから、カップル誕生ということにしておいたけど、いいよな?」
身を屈めた彼にコソッと耳打ちされ、心臓が飛び跳ねる。
「は、はい……」
「じゃ、とりあえず出ていくまで、それらしく腕を組んで」
言われるがまま、郡司さんの腕に遠慮がちに自分の腕を絡めた。彼のスーツからほろ苦いライムのような香りがして、近すぎる距離に頬が熱くなる。
やばい。さっきの戒め、全然効果がない……。
否応なく甘い気持ちが胸に沁み出す私に対し、ちらりと見上げた先の郡司さんは、顔色ひとつ変わらない。
きっと女性には慣れている人なのだ。深入りしてはいけない。
効果の怪しい戒めをまたしても胸の内で呟きつつ、郡司さんと密着して会場を出た。