冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~

 彼が連れていってくれたのは、同じホテル内の最上階にあるジャズバーだった。店に足を踏み入れた瞬間、独特のリズムで心地よく音が転がるピアノの生演奏が耳に飛び込んでくる。

 案内されたテーブル席はグランドピアノのそばで、女性ピアニストが煌めく都心の夜景をバックに演奏する姿が見えた。

 こんなに素敵なバーで、郡司さんのような極上のイケメンと一緒にいるなんて……夢か幻でも見ているみたい。

「きみはなにを飲む? 酒でもいいし、この店はうまいコーヒーも淹れてくれる」
「郡司さんはなにを飲まれるんですか?」
「俺はウイスキーをロックで」

 ジャズバーでウイスキー。大人っぽい彼に似合いの組み合わせだ。私も背伸びをして真似してみよう。

「じゃ、私も同じものを」
「やめておけ。きみはパーティーで出された弱いカクテルでも顔が赤くなっていた。ウイスキーが飲みたいなら、そうだな……ハーフロックで作ってもらうか」

 ハーフロック、とはロックスタイルの一種で、氷のほかにウィスキーと同量の水を加え、マイルドにしたものらしい。それでも水割りよりは濃いので、ウイスキー本来の味わいも感じられる飲み方だそうだ。

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