冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~
「お電話代わりました。郡司です」
『お忙しいところすみません。私、こちらの緩和ケア病棟に入られているお父様の担当看護師で、新沼と申します』
「……緩和ケア病棟?」
俺の脳が一瞬ショートした。
父が、がんセンターの、緩和ケア病棟にいる。つまり、なにかしらのがんを患っているが、積極的な治療を行わず、死を待っている……?
『お父様は、肝臓がんのステージⅣです。リンパ節にも転移があり、治療をしても予後がよくなる確率は低く……ご本人の希望でこちらの病棟に入りました』
突然のことに、言葉が出ない。
ずっと憎かった相手だし、親子の縁も切っているつもりだ。
それでも、実の父が死期を迎えようとしているなんて簡単には信じられない。
『それで、お父様は遺言状を作成するにあたって、郡司さんのお力を借りたいと』
遺言状。その言葉の持つ暗い重みに、父の病状が真実味を帯びる。
そんなものを用意しなければならないほど、切羽詰まっている状態なのか? 看護師の話を聞く限り、会話はできるようだが……。