冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~

 俺はぐるぐると色々なことを考えつつも、気を逸らすように事務的に回答する。

「息子の私は直系血族ですので、公証人として遺言状を作成することはできませんが」

 遺言者からの依頼で第三者が作成する、公正証書遺言というものがある。弁護士はその依頼を受けることも多いが、依頼者が父となると、俺にはできない。

 未成年者や推定相続人、配偶者、直系血族などは、遺言状の公正さを保つため、証人になれない〝欠格者〟なのである。それを知らずに万が一欠格者に作成を頼んでしまうと、せっかく残した遺言状の内容がすべて無効になる。

『いえ、作成はご本人の直筆で行うそうです。ただ、法律的にミスがないよう、郡司さんのご助言をいただきたいとのことで……』

 弁護士には仕事を選ぶ権利がある。受けたくない依頼は、断ればいい。

 しかし……。

「わかりました。これから伺います」

 俺は気が付いたらそう返事をしていた。病院の場所を聞いて電話を切り、さっき出先から戻ってきたばかりだが、再びせわしなくバッグを持つ。

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