冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~
驚愕して声も出ない私に構わず、叶未は店の奥に足を進めていく。慌ててついていった小さな部屋は、大きな鏡にドレス、プロのメイクさんがふたりも用意され、完全に花嫁の支度部屋となっていた。
「じゃ、さっそくお願いします」
「かしこまりました」
私が口を挟む隙もなく、叶未とメイクさんとでてきぱきと話を進め、私は鏡の前に座らされた。
希望の髪型を聞かれ、こんな状況ですぐに思いつくわけがないだろうと言いたかったが、ひとつだけ伝えるべきことを思い出す。
「叶未、紙袋からベールを出してくれる?」
「あっ、さっき至さんのお母様が言っていたやつ?」
叶未が取り出したベールを広げ、ヘアメイクの女性に手渡す。
「このベールに合う髪型で、お願いします」
「かしこまりました。ベールの柄が目立つように、シンプルなアップスタイルにしましょう」
さすがはプロ。私のざっくりしたリクエストから瞬時に見栄えをイメージして、スタイルを決めていく。
メイクも、ふたり掛かりとはいえ自分でやるのとは比べ物にならないくらい綺麗で速い。ヘアメイクが済んだら、とうとう着替えだ。