冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~
至さんが時に厳しいことを言うのは、様々な犯罪被害者と向き合い、その痛みに寄り添ってきた証拠。
私の仕事にも通ずる部分があり、彼と話しているといつも勉強になるし、尊敬の念を抱かずにはいられない。
パンダ舎を離れた後、観客にサービスする気もなく寝そべったトラや、抱き合ってキスするプレーリードッグ、餌を要求して手を叩くニホンザルなどを見て笑い合っているうちに、お昼が近くなってきた。
園内の池の周囲にテラス席があるのでそこに移動し、木製の丸テーブルの上でお弁当を広げる。
「おお、うまそう」
「味見はしてきたので、まずいってことはないと思うんですが」
そうは言いつつも、至さんの口に合うかどうかはわからない。家で振舞う料理と違ってお弁当は冷めているし、気に入ってもらえなかったらどうしよう。
至さんはさっそく箸を手にして、唐揚げを口に入れる。固唾を呑んでその様子を見守っていると、彼はチラッと私を見て「美味しい」と笑った。