冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~
店を出て歩きながら、ぬいぐるみをしげしげと観察する至さんに言う。
「職場のデスクにでも飾ってくださったらうれしいなー、なんて」
「いや、デスクはちょっと……同僚の目もあるしな。引き出しの中でもいいか? 時々開けて眺めるから」
男性としては、動物のぬいぐるみを見える場所に飾っておくなんて恥ずかしいのかもしれない。別に見せびらかしたいわけじゃないので、私もそれで十分だ。
「構いません。職場に持って行ってくれるだけでうれしいです」
「パンダを見たら芽衣に会いたくなって、仕事どころじゃなくなりそうだけどな」
「その時はパンダにキスでもして我慢してください」
至さんは不満そうに顔をしかめ、試しに、といった感じで手にしているパンダのぬいぐるみの鼻先にキスをした。
イケメンとパンダのキス……なんと萌える光景だろうか。
「ダメだ。こいつの唇、毛だらけ」
「あたり前じゃないですか、ぬいぐるみなんだから」
クスクス笑っていたら、目の前に至さんの影がかかり、羽根のような軽いキスが触れた。
午後になって園内の人手は減ってきたものの、誰かに見られていたらと思うと平常心ではいられない。