冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~

「い、至さん……っ!」
「この後どうする? どこかで夕飯を食べてからうちに来るか?」

 至さんは私の抗議なんて完全にスルーで、恋人繋ぎにした手をくいっと引っ張りながら、甘えた目をして言った。おそらく、今のキスでは物足りなかったのだろう。

 ついドキッとして誘いに乗りそうになるけれど、妊娠している体で応じていいのかどうか微妙だ。赤ちゃんにもしものことがあったら大変だし……。

「ごめんなさい。実は、明日までにまとめておきたい仕事の資料があって」

 そう口にしながら、嘘をついている罪悪感で、ズキッと胸が痛んだ。至さんは少し残念そうに「そうか」と笑って、また前を向く。

 動物園を出た後、近くのパーキングに車を止めていた至さんの運転でドライブをし、立ち寄ったイタリアンレストランで早めの夕食を済ませると、彼が家まで送ってくれた。

 アパートの前に着くと、私は運転席の彼に改めて今日のお礼を言う。

「ありがとうございました。動物園なんて久しぶりで楽しかったです。至さんも少しは疲れが取れましたか?」
「ああ、芽衣のおかげだ。また連絡する」
「はい。じゃあまた」

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