冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~
「ありがとう。仕事、根を詰めすぎるなよ。おやすみ」
「おやすみなさい」
甘い声で挨拶を交わし合い、車を降りる。走り去る彼の車を見送ってからアパートの自分の部屋に入ると、デートの余韻でふわふわした熱も少しずつ落ち着いてきた。
同時に、至さんのお母様に言われた言葉が脳裏に蘇る。
『至を私に返してちょうだい。あの子は、私を支えるために生まれた子なの』
……真に受けてはだめ。お母様は、精神的に追い詰められているからあんなことを言うのだ。子どもは親の所有物ではない。至さんには、至さんの人生がある。
ネガティブになりそうな思考を振り払うように首を振り、私はリビングの本棚の前に移動した。
心理学関係の書籍が並んだ中から『パーソナリティ障害の治療』という一冊を選ぶ。著者の鮎川先生は精神科医で、私の大学時代の恩師でもある。
「あった。依存性パーソナリティ障害」
目次から見つけたページを、素早くめくって開く。至さんから初めてお母様の話を聞いた時から気になっていたのだ。お母様の状態はこれに近いのではないかと。