冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~

 原因や症状、診断基準、治療……黙々とページを読み進め、依存性パーソナリティ障害について説明されている部分をすべて読み終わる。私はパタンと本を閉じ、ため息をついた。

「治療は長期。しかも、患者本人の強い意志が必要か……」

 どう考えても、すぐにどうこうするのは難しい。精神疾患というのはそういうものだと頭で理解しても、心が追い付かない。

 赤ちゃんは、来年の六月に生まれてしまうのだ。

「どうしよう……」

 至さんを愛する気持ちは揺らがないけれど、お母様のことだけで大変な至さんに、私とお腹の子の人生まで背負わせていいのか、簡単には答えが出せない。

 私は不安から無意識にお腹に手をあて、まだ少しも膨らんでいないそこをさすった。


 次の週末は至さんが休日出勤のために会うことができず、妊娠の事実を告げられないまま一週間余りが過ぎた。

 幸いつわりの症状は現れていないので、平日はいつも通り学校で仕事をして帰宅する、平凡な毎日が続いていた。

 そんなある日、私は仕事帰りにアパートの郵便受けから郵便物を出し、部屋までの通路を歩きながらチェックしていた。

 その中に、一通だけ手書きで宛名の書かれた綺麗な封書があることに気がつく。

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