冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~
《至くん、ほら早く、所長がおかんむりだぞ!》
《知りませんよ……》
《次は恋バナをご所望だって!》
《お断りします》
至さんは冷たくあしらっているが、女性の声は酒に酔っているかのように甘ったるい。
しかも親し気に〝恋バナ〟だなんて……この女性、本当に至さんの同僚なのだろうか。
《騒がしくてごめん。じゃあな、芽衣。おやすみ》
「は、はい。おやすみなさい……」
電話の向こうの賑やかな空気に気後れしつつ、通話を終える。彼の声を聴いて不安は少し和らいだずなのに、また別の刺々しい気持ちが心に生まれていた。
おそらく、至さんが私の知らない女性と楽しそうにしていたからだ。
「いやいや、上司がいるって言ってたし、職場の飲み会でしょう」
嫉妬をなだめるために、あえて声に出して自分に突っ込む。しかし、直後に虚しくなって、その場に膝を抱えて座り込んだ。
そういえば、至さんの職場のことあまりよく知らないな……。
セクハラやパワハラ、リベンジポルノの案件を担当すると言っていたから、勝手にお堅い法律事務所をイメージしていたけれど、身内で恋バナをするくらいだからそうでもないみたい。