冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~
女性の名前は蘭さんというらしい。至さんが初めて彼女を気遣うような声色になり、彼女の返答にも甘い感情が見え隠れしていた。
どうして同僚を下の名前で呼ぶの? 大丈夫ってなにが? 至さんのおかげってどういうこと?
ちりちりと胸が焦げ付くような感覚に、キュッと唇を噛む。
「じゃ、買いましょう」
至さんが迷いなく言って、棚から箱を取る音がした。すぐそばに私がいるとは夢にも思っていないだろう。
そうでなければ、恋人以外の女性と一緒にコンドームを購入するなんて馬鹿なこと……頭のいい彼がするはずがない。
私はくらっとめまいを覚え、その場にしゃがみ込んだ。
至さんを信じたいのに、信じきれない。妊娠のこともお母様のことも、早く彼に相談しなきゃいけないのに……。
頭痛を堪えるように額に手をあててため息をついた瞬間、バッグの中からスマホの振動音がした。
なんとか立ち上がってスマホを取り出してみると、画面には知らない番号。
嫌な予感しかしない。でも、ここで出なければ〝彼女〟はまた掛けてくるだろう。
……運命の神様はなんて意地悪なの。あんな風に私と至さんを出会わせておいて、最近はまるで私たちが結ばれるのを邪魔するかのようにつらい試練ばかり。