冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~
とはいえ、いきなり私にすべてを話してくれというのも無理な話。
生徒の話を深く聞くには、カウンセリング室外での信頼関係づくりも大切なので、普段の授業を見学したり、学校行事に参加したりもする。
教員向けに研修や講演を行うこともありなかなか忙しい仕事ではあるが、カウンセリング後、幾分すっきりした顔をした生徒に「ありがとう。なんか楽になった」と言われるだけで、苦労が報われる。
私に話すことで、心に抱える重い荷物が、ほんの少しでも軽くなればいい。そう思いながら、今日もカウンセリング室で仕事を開始した。
「芽衣ちゃん、俺、修学旅行行きたくねえ」
休み時間中、ある男子生徒がカウンセリング室にやってきた。
白い長机に突っ伏してぼやく長身で短髪の彼は、二年生の崎本塁くん。秋に予定されている修学旅行の班決めなどが、早くもクラスで始まっているらしい。
崎本くんはカウンセリング室の常連で、担任教師からも『家庭が複雑なのでよく話を聞いてやってほしい』と頼まれている生徒だ。