冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~
「してない。結婚したかった人はいたけど、フラれちゃったんだ」
結婚……してないんだ。フラれたって、最近の話かな。
「そうなんだ~。ざんねん」
「……うん。でも、俺が悪かったんだ。彼女の優しさに甘えすぎてた」
成優に、というより、自分に言い聞かせるような調子で、至さんが呟いた。
誰も私のことだとは言っていないのに、過去の傷が勝手にチクッと痛む。
もしかしたらあの時、別れる以外の選択肢があったのだろうか。なんて、今思ったところでやり直せるはずなんてないのに……。
私は早々と背後のキッチンに食器を下げ、テーブルの方を向かないまま告げる。
「成優が食べ終わったら、本題に入りましょうか。成優、ママ、お兄さんとお仕事の話をするから、食べたら向こうでDVD見ててくれる?」
「うん……わかった」
なんとなく、シリアスな空気を感じ取ったらしい成優は、神妙に頷いた。それから急いで親子丼の残りを食べ、大人しく和室に移動する。
成優に空気を読ませるのは酷だといつも思っているはずなのに、またやってしまった……。後でいっぱい話を聞いてあげないと。