記憶喪失の妻は一途な夫(外科医)に溺愛される
「デートしよう!」
紫苑の急な提案に、私はうれしくて即答した。

彼の仕事が休みの日。
前夜に少し夜更かししようと、夕飯のあと一緒にソファに座りプロジェクターで流行の映画を観ていた私たち。その時ニューヨークの街並みが映って、私が見入っていると、彼がきらきらと目を輝かせて提案してくれた。

「つわりも落ち着いてきてるし、それに体調もよさそうだし。頭痛もほとんどないし。」
「いいの?」
「いいよー。車出すからなるべく安静に回れるルート考えないとな。」
紫苑はさっそく携帯電話を出していろいろと検索し始めた。

私も映画などそっちのけで彼の検索画面に見入る。

「セントラルパーク、メトロポリタン美術館、自由の女神、ブルックリン箸、グランドセントラル駅。いろいろあるなー定番の観光名所。桐乃とはタイムズスクエアに行ったことがあるんだ。本場のミュージカル観た。」
「そうなの?」
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